1.ドイツの介護保険について
1) 介護保険(1995年)は健康保健(1883年),傷害保険(1884年),年金(1889年
),失業保険(1927年)と共に5つ目の社会保険システムの柱の一つである。介護
保険は新たに発生する管理費用を節約する為に法定健康保険の傘下にある。
2) 介護保険は1995年1月1日から保険金の徴収を始め、支払は4ヶ月後の1995年4
月1日から在宅ケアに先ず適用され、1996年7月1日から老人ホームに適用される
様になった。
立法への歩み
1995年1月1日から会費徴収
1995年4月1日から在宅ケアにサービス適用開始 (第1段階)
1996年7月1日から老人ホームにサービス適用開始 (第2段階)
3) 雇用側と労働者側が介護保険金の掛け金として給料の1%を半々づつ負担する形
だったが、1996年7月1日からは1.7%に値上がりし、それぞれが半々づつ負担する
事になった。但し負担上限は月給収入がDM 6.000. 迄で頭切りとなっている。
4) 介護保険のサービス支払を受ける在宅ケアの場合は、
1.ケアを必要とするもの,
2.重症なケアを必要とする者,
3.最重症なケアを必要とする者
の3段階に分けられている。
2.在宅ケアにおけるサービスについて
1) 月々の物的サービスについて
在宅ケアに必要となる資金の支払いは、下記の@ABのケアを必要とする程度の3
段階の内容に応じて月々物的サービスを受ける事ができる。
@ ケアを必要とする者 DM 750.
A 重症なケアを必要とする者 DM 1,800.
B 最重症なケアを必要とする者 DM 2,800.(特別な場合 DM 3,750.迄支払う)
2) 月々の資金的サービスについて
在宅ケアに必要となる資金の支払いは、下記@ABのケアを必要とする程度 の3段
階の内容に応じて月々資金的サービスを受ける事ができる。
@ ケアを必要とする者 DM 400.
A 重症なケアを必要とする者 DM 800.
B 最重症なケアを必要とする者 DM 1,300.
3ヶ月に一度、専門家が訪問し、介護内容を点検し指導する。
3) 在宅ケアの為の月々の物的サービスと資金的サービスを抱き合わせる事もできる。
4) もしケアをしている介護者が何かの理由で介護ができなくなった場合、介護保険
からその代理ケアの為に支払い必要となるコストを、年に一度のみ4週間分の費用
として最高 DM 2,800.迄が支払われる。また昼や夜のケアの場合は最高DM 2,100.迄
が支払われる。
5) 保険で支払われるものは介護資金,介護の為の器具(例えば車椅子,介護の為の
ベッド,身体を持ち上げる為のリフトなどの物的サービス),介護者(ケアをする
人)のバカンス,デイケアー,ショートスティー,介護に必要となる室内改造資金
(Max bis DM 5,000.),介護者の在宅ケアの為の研修トレーニング費用などである。
3.老人ホームなど入居者へのサービスについて
老人ホームなどに入居している者に対しては月々DM2,800. 迄が支払われる。(但
し現在の支払平均はDM 2,500.)、例外的な最重症ケアの場合は月々DM 3,300. 迄
が支払われる。しかし、食費と住居費は対象外である。
4.その他について
1) 北欧諸国は公費負担による社会保障制度であるが、ドイツは独自の社会保障制を
取っている。
2) ドイツの介護保険の収支状況は極めて健全である。しかし、2000年以後には保険
料は3%位まで値上がりするかもしれない。
3) 介護者に資金的サービスがあるため、施設ケアの申込みが減り、また施設入居か
ら在宅介護への切り替えが進みつつある。