有田医師会 会長
松谷 良清
令和5年5月
有田医師会のホームページにアクセス頂き、有難うございます。
令和5年5月より有田医師会長に就任いたしました松谷良清です。有田医師会は湯浅町、広川町、有田川町の3町にまたがり広域で活動しています。ホームページに関しても情報技術(information technology)の発展もあり、今後ともそれに対応できるように内容の変更・更新が必要と感じています。
また、地域の現状として下記のことが重要と考えています。
1.少子高齢化問題
厚生労働省の人口動態統計月報によると2022年1月~12月の和歌山県の出生数は5,514人で前年より218人減少した。出生率(人口千人対)6.1で前年より低下、昭和49年以降、出生数は減少傾向が続いています。この傾向は今後も続くでしょうが、この地域で出生率を上げるには、安心してお産ができ、子育て世代に優しく、安心して暮らせる地域にしていく必要があると考えます。また、日本人の平均寿命は、1947年(昭和22年)においては女性53.96歳、男性50.06歳でした。しかし、医療の進歩、公衆衛生の向上、生活の質の向上などによって平均寿命は年々延び、令和2年度においては女性が87.74歳(世界1位)、男性が81.64歳(世界2位)となっています。高齢者の占める割合が増加、人生100年時代と言われる超高齢化社会の到来、人口は減少するが75歳以上の後期高齢者の増加が今後しばらく続き、脳血管障害も含め、循環器疾患での死亡者数が増加すると考えられています。健康寿命との差が女性で約12年、男性で約9年あります。また、高齢化に伴う認知症、フレイル、心不全などの発症も多くなり、医療、介護も含め地域で取り組む課題が多くなると考えられます。
2. 電子化に対する課題
令和5年4月から国はマイナンバーカードを保険証として利用できるようにして、医療機関もこれに対応することを義務化されるようになっています。しかし、マイナンバーカードの交付率は、63.5%(令和5年2月28日現在、総務省公表)であり、医療機関はマイナンバーカードの保険証利用と従来の保険証に対応しているのが現状です。 情報の電子化は避けて通れない状況であり、国は医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を求めています。しかし、医療機関がサイバー攻撃でランサムウエアに感染、電子カルテが使用不能になったりしており、マイナ保険証に関しても大きなリスクがあると考えられます。そのため、医療機関のサイバーセキュリティ対策が大きな課題となってくると考えられます。
3. 地域包括ケアに関して
加齢とともに増加するフレイルや認知症の問題、独居老人の増加など医療だけで対処できないのが現状です。在宅医療や介護も必要な方が増加するとともに、亡くなる方も増加すると考えられます。行政も含め、多職種でスクラムを組み対応する必要があると考えら、在宅医療サポートセンターの役割も大きくなってくると思います。
4.新たな感染症への対応
2019年中国武漢で発症した新型コロナ感染症は想像を絶するパンデミックとなりましたが、この3年間で色々なことを学びました。またワクチンの開発も進み、治療薬も開発されてきています。インフルエンザも毒性の強いものが現れるとの注意喚起からかなり時間が経過しています。また、今後新たなウイルスの登場も考えられます。その時どうするかといったことも地域として考えていく必要があると考えられます。
5.広域災害時の対応
国土交通省の2020年の白書では南海トラフ地震についてはマグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%とされています。阪神淡路大震災や東日本大震災の時の状況に学び、地域の特性を理解して各医療機関もどのように今後対応するかを地域として考えていく必要があり、昨年からハザードマップでリスクのある医療機関に行政から対応書類の提出などが求められています。例年9月の救急週間には救急災害医療懇談会を開催、今後はシュミイレーションに基づく、防災訓練も再開されるものと考えます。
6.人口知能( AI )に対する取り組み
最もホットな話題であり、医療分野でも急速に進化しているのが現状です。
医療分野のデジタルトランスフォーメイション(DX)、AIに対する対応も今後避けて通れない状況となって来ます。
最後になりましたが、有田医師会は地域に貢献できる医師会として会員が医の倫理を守り、自己研鑽をし、生涯教育の実践に務めてまいります。住民の皆様の健康と命を守るため努力をして、居心地の良い地域とするための一端を担いたいと考えていますので、今後とも医師会活動にご理解とご協力をお願いいたします。